平成28年度 埼玉県高等学校サッカー新人大会 大会総評

報告者:高体連技術部員 川口青陵高校 山田純輝 

昌平高校「2年連続3回目の優勝」-埼玉県新人大会を振り返って


 平成28年度埼玉県高等学校サッカー新人大会は、2月4日.5日.12日.18日の4日間をかけて西武台高校グランドなどの会場で行われた。今大会は、昨年の高校サッカー選手権埼玉県大会ベスト8のチームと、1月に行われた新人大会各支部から勝ち上がった8チーム(各支部2チーム)の合計16チームによるトーナメント方式で実施された。結果は、昌平高校が2年連続3回目の優勝、準優勝に正智深谷高校、3位に武南高校と西武台高校という結果で、ベスト4に東西南北1チームずつが名を連ねた。
 昌平高校は、昨年の全国高校総体ベスト4の経験と実力を遺憾なく発揮し、4試合で10得点、1失点と安定感のある戦いで優勝した。1-4-2-3-1の布陣で、昨年からの2年生レギュラーに加えて1年生がスタメンの半数を占めるフレッシュな顔ぶれであった。攻撃は、SBが高い位置を取り、中盤が流動的にポジションを変えながらボールを素早く動かす攻撃的なポゼッションサッカーで主導権を握る。DFやボランチから楔や背後へのロングボールなど長短のパスを織り交ぜながら相手の隙を突いてゴールに迫る。特に、昨年から主力のボランチ山下が効果的な縦パスや侵入のドリブルなどでリズムを作り、攻撃を牽引した。また、ポストプレーや背後への動き出しで攻撃の起点となったFW佐相とトップ下渋谷が絡むと相手にとっては脅威となった。決勝の前半は、相手のコレクティブな守備をなかなか攻略することができなかったが、後半に選手交代やポジションチェンジを行いリズムが生まれた。それに加えて前線の背後への動き出しも増えたことで相手DFラインが下がりトップ下渋谷が自由にプレーできるようになったことで流れを引き寄せ、延長戦の末、逆転勝利を飾った。中央を固めてくる相手に対して、SHやSBの攻撃参加が増えるとさらに攻撃のバリエーションが増えるであろう。守備は、GK緑川やCB石井を中心にコンパクトなラインを形成し、前線から積極的にプレスをかけてパスコースを限定し、インターセプトでボールを奪う形が何度も見られた。また、CBやボランチなどボール奪取能力に長けた選手が多いことに加え、選手の距離感やバランスが良く、チャレンジ&カバーも徹底されていてコレクティブな守備であった。しかし、SBが上がったスペースを使われ、ピンチになる場面やリスクマネジメントが曖昧な場面もあり、今後の課題となった。
 準優勝した正智深谷高校は、先日の全国高校サッカー選手権大会ベスト8進出時同様、堅守速攻を持ち味としたチームであった。攻撃は、奪ってから2トップに素早くボールを供給して全体を押し上げ、スピードのある両SHがサイドを突破しクロスを上げる形で何度もチャンスを作った。個人でもテクニックやスピードがある選手も多く、主導権を握る時間も長かった。特に、FW梶谷の存在感は抜群で、キープ力やシュート力に長けており、相手にとっては脅威であった。守備は、3ラインをコンパクトに保ち、全体でブロックを形成し、連動したプレッシングでボールを奪う。攻撃から守備への切り替えや中盤のプレスバックも早く、相手を自由にさせない。両CBの対人やヘディングの強さも光り、相手攻撃の芽を摘んだ。決勝の前半は、コンパクトかつコレクティブな守備で相手を自由にさせず、高い位置でボールを奪い、チャンスにつなげる場面が数多く見られた。後半は、前半のハードワークの疲れからか1stDFの寄せが甘くなったことで主導権を握られ、逆転負けを喫したのが残念であった。80分間通して前半のような戦いができるフィジカルがついてくれば間違いなく優勝候補のチームである。
 3位の武南高校は、1-4-4-2の布陣で2トップやSHに素早くボールを供給し、全体を押し上げ相手陣地で主導権を握るチームであった。守備はコンパクトな3ラインを形成し、ボールを奪うと2トップの動き出しに合わせて素早くボールを供給した。良い形で前線にボールが入ると持ち前のスピードやテクニックを発揮しチャンスを作った。しかし、全体の押し上げが遅れ2トップが孤立する場面も見られ、今後の課題となった。
 同じく3位の西武台高校は、1-4-1-4-1の布陣でDFラインから長短のパスやサイドチェンジを駆使しながら相手陣に侵入し、サイド攻撃からゴールに迫る。守備は、コンパクトなゾーンDFで、バイタルエリアに侵入させない。攻撃から守備への切り替えも早く、相手に隙を与えなかった。しかし、準決勝の正智深谷高校戦の後半に、風を警戒してかDFラインが下がり、相手をバイタルエリアで自由にさせてしまい主導権を握られ連続失点を許して敗れたことが悔やまれる。
 大会全般を振り返ると、新人戦の段階ではあるが上位に残ったチームは「攻守一体」を意識しているチームが多かった。攻撃時にはCBやボランチがバランスを取り、リスクマネジメントの意識があった。そのため、奪われてもすぐにボールにプレッシャーをかけられるような準備や予測ができており、素早い切り替えにつながっていた。守備では、ボールを中心にコンパクトなブロックを形成し、全体で連動してボールを奪い、素早い切り替えから相手の隙を突いてショートカウンターの形が多く見られた。一方でブロックやバランスを意識しすぎて1stDFが曖昧になることで相手に制限がかからず簡単に突破されたり、速攻と遅攻の判断が悪く、不用意にボールを奪われたりする場面が見られるなど課題も残った。
 埼玉県が全国で勝つためには、チーム戦術に加えて「個」のスキルアップが欠かせない。攻撃面では、プレッシャーの中でテクニックを発揮することや観て判断する力を、守備面では、予測や準備に加え、アプローチの早さ、ボディコンタクトや球際の強さなどを日頃のトレーニングやゲームの中で磨き、試合で発揮できるようにしたい。
 大会における成果と課題を各チームや個人が整理し、リーグ戦や高体連の公式戦に向けて切磋琢磨しながら強化を図るとともに、埼玉県が全国で昨年(全国高校総体ベスト4、全国高校サッカー選手権ベスト8)以上の成績を残すことを期待して総評とする。


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